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モロッコ絶景ロードトリップ:マラケシュからサハラまで10日間の旅

Morocco · 10 min

モロッコ絶景ロードトリップ:マラケシュからサハラまで10日間の旅

マラケシュを起点に、アトラス山脈を越えてサハラ砂漠の大砂丘エルグ・シェビへ。千のカスバの道を辿る、10日間のドライブ紀行をお届けします。

destination.com editorial · 2026年4月16日 · 翻訳: destination.com i18n (machine, editorial-reviewed)

ジャマ・エル・フナ広場の片隅に佇むと、乗り合いの大型タクシー(グラン・タクシー)のテールランプが夕闇に消えていく。無数の屋台から立ちのぼる煙がオレンジのピラミッドの向こうへと流れ、周囲のリヤドを彩る真鍮のランプがゆらめく。マラケシュという街は、旅人を丸ごと呑み込み、脱出路を自力で探せと挑発してくる。その脱出路こそが、ハイアトラス山脈を越え、千のカスバが連なる谷を抜け、サハラの静寂へと続く道なのだ。

この10日間のロードトリップは、マラケシュからエルグ・シェビの大砂丘まで、あえてゆっくりと進む行程で組み立てた。アイト・ベン・ハッドゥ、ダデス峡谷、ドラア渓谷を通り、宿泊地は利便性よりも個性を優先して選んだ。マラケシュ・メナラ空港でレンタカーを借りるセルフドライブ派を想定しているが、運転手付きの手配でも同じルートで問題なく楽しめる。宿、食事、日中に越えるべき峠、そして「値切りを覚えたつもりになるのはやめる」タイミングまで、包み隠さずお伝えする。

1〜2日目:マラケシュ ― 出発前にメディナを体に染み込ませる

すぐに出発したくなる衝動は抑えてほしい。ハンドルを山に向ける前に、マラケシュにはたっぷり2日間を捧げる価値がある。拠点にするならムアシン地区がおすすめだ。リヤドが密集し、路地はバイクが入れないほど狭い ― これが想像以上に快適さを左右する。ベン・ユーセフ・マドラサへは朝10時前に歩いて向かおう。中庭のタイルワークを、五十人分の後頭部なしで写真に収められる貴重な時間帯だ。

初日のディナーは、スパイス市場近くのDerb Aarjane 1にあるNomadを予約したい。屋上テラスからは、なめし革工房のシミが残る屋根々越しに、クトゥビアのミナレットが見渡せる。注文すべきは羊肉のタンジーヤ。ハマム(蒸し風呂)の熾火に埋めた壷で何時間も煮込む伝統料理で、フォークで簡単にほどけるほど柔らかく、塩漬けレモンの酸味が濃厚な旨みを引き締める。

2日目は混雑必至のマジョレル庭園を避け、メディナ内のLe Jardin Secretへ足を運ぼう。イスラム式庭園の水路の設計は見事の一言で、塔からは旧市街随一とも言える眺望が広がる。午後はMaison de la Photographieでベルベル人の肖像写真アーカイブに浸る静かな時間を。

夕方にはレンタカーの書類を仕上げ、Avenue Hassan II沿いのCarrefour Guelizで水と軽食を買い込む。ガソリンは満タンに。ティチカ峠を越えた先、次に信頼できる給油所はワルザザートまで、山道を約4時間走らないと現れない。これは決して侮ってはいけない。

💡 プロの助言: リヤドを出る前に、Googleマップのオフライン地図で「Marrakech-Safi」「Draa-Tafilalet」「Souss-Massa」の3地域をダウンロードしておこう。アトラスの峠道では携帯電波が完全に途切れる区間が何度も現れる。

3日目:ティチカ峠を越えてアイト・ベン・ハッドゥへ

マラケシュは朝7時に発ちたい。国道N9を南下すると、アルガンの林を抜けて標高1,800メートル超からいよいよ本格的なつづら折りが始まる。ティチカ峠の最高地点は2,260メートル、雲に覆われることも多い。舗装は良好だが、過積載のトラックや強引に追い越すローカルドライバーと同じ道を分け合うので、無理は禁物だ。峠では写真休憩と割高な化石の押し売りを一通り味わってから、ウニラ渓谷へと下っていこう。

ワルザザートまで進まず、アイト・ベン・ハッドゥの案内標識でN9を離れる。世界遺産に登録されたこのクサール(要塞集落)は、まさに一見の価値あり。ウニラ川の上に土壁の塔がそびえ立つ。土嚢の飛び石で川を渡り、頂上の穀物倉まで登ってみよう。夕方の光を浴びると、集落全体が銅色から黄金色へと色を変えていく。

宿は、川床を挟んでクサールの真向かいに位置するRiad Caravaneがベストだ。テラスからの夕陽は、ワルザザートのどんなホテルにも真似できない絶景。夕食付きで、オリーブ入りの鶏肉タジンをみんなで囲むスタイルが定番だ。

クサール入口で待ち構える自称ガイドの勧誘は丁重に断ろう。道は一本道でわかりやすい。解説が欲しければリヤド経由で定額のガイドを手配するのが確実で、1時間しっかりまわって150ディルハム程度が相場だ。

💡 プロの助言: タンクが半分を切っていたらワルザザートで必ず給油を。ダデスまでの区間には小さな路傍のスタンドしかなく、特に金曜日は在庫切れになることがある。

4〜5日目:千のカスバの道とダデス峡谷

N10をひたすら東へ。「千のカスバの道」の名にふさわしく、赤茶けた土壁の要塞と青々としたオアシスが交互に現れる区間だ。スクーラのオアシスに立ち寄り、Kasbah Amerhidilを訪ねてから、バラの産地として知られるケラア・ムグナへ。5月なら谷全体がダマスクローズの香りに包まれる。

ダデス峡谷では、有名なつづら折りの道を見下ろせる展望テラスに宿を取りたい。夕食後、テラスに出て満天の星を仰ぐと、光害を知らない空がどれほど雄弁かを思い知らされる。

6日目:トドラ峡谷とエルフードへ

朝一番でトドラ峡谷へ。切り立った岩壁の間を清流が流れる幅わずか10メートルほどの回廊は、朝の光が斜めに差し込む時間帯が最も美しい。その後は東へと進み、化石とナツメヤシの町エルフードで一泊。翌日のサハラ入りに備えて体力を温存しよう。

7〜8日目:メルズーガとエルグ・シェビの大砂丘

いよいよ旅のハイライト。エルフードから約1時間、地平線に突如としてオレンジ色の砂丘が現れる瞬間は、何度訪れても息を呑む。メルズーガでは砂丘の縁に建つラクダキャンプ、あるいはKasbah Mohayutのようなラグジュアリー系ロッジに滞在したい。ラクダの背に揺られて砂丘の奥深くへ向かい、ベルベル式のテントで一夜を明かす体験は、この旅の記憶の核となるはずだ。夕暮れの光が砂丘を薔薇色に染め、夜には天の川がくっきりと横たわる。

9〜10日目:ドラア渓谷経由でマラケシュへ戻る

復路は往路と違うルートを取ろう。リサニ、ザゴラを経由するドラア渓谷ルートは、ナツメヤシ林が延々と続く緑の回廊だ。ザゴラで一泊し、翌日はワルザザート経由で再びティチカ峠を越えてマラケシュへ。同じ峠でも、逆方向から見る景色は驚くほど印象が違う。

マラケシュに戻ったら、初日には気圧されて味わえなかったジャマ・エル・フナの喧騒を、今度は落ち着いて楽しめるはずだ。10日間で走った約1,500キロは、単なる移動距離ではなく、モロッコという国の懐の深さそのもの。都市の熱狂、山岳の峻厳さ、砂漠の静寂 ― この三つが渾然一体となって、一枚のモザイクを描き出す。それこそが、この旅がくれる最大の贈り物だ。

英語版のオリジナル記事はこちらからお読みいただけます。

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