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ドーハで必見のモダン建築12選

Qatar · 23 min

ドーハで必見のモダン建築12選

砂漠の花からイスラム芸術まで——カタールの首都ドーハは、伝統とフューチャリズムが交差する建築の宝庫。旅行前に押さえておきたいランドマークを徹底ガイド。

destination.com editorial · 2024年10月18日 · 翻訳: destination.com i18n (machine, editorial-reviewed)

石油と天然ガスの発見以来、ドーハのスカイラインは劇的な変貌を遂げてきた。林立する超高層ビルや個性豊かな文化施設は、カタールの急成長とその野心を体現している。伝統的なイスラム建築の意匠と未来志向のコンセプトを融合させたこれらの建物は、世界のどこにも類を見ないユニークな都市景観を生み出している。

わずか半世紀前、ドーハは漁師たちの小さな集落に過ぎなかった。今や摩天楼と革新的な構造物が空へと伸びあがり、その姿は往時の面影をほぼ残していない。石油・ガス収入を都市改造に投じるというカタールの国家戦略が、この驚異的な変貌をもたらしたのだ。

カタールの建築進化史

真珠採取の経済から世界的なエネルギー大国へ——カタールの歩みは、その建築にそのまま刻まれている。1970年代のドーハは、目立った建物もほとんどない地方都市だった。それが2024年現在、世界の主要都市に引けを取らない超高層ビル、美術館、スタジアムが次々と姿を現している。この急速な開発には課題も伴った。建設ラッシュは品質管理や労働者の待遇問題を引き起こしたが、近年はサステナブルな建築手法の導入と労働環境の改善に向けた取り組みが本格化している。

1. ジャン・ヌーヴェル設計:Qatar National Museum(カタール国立博物館)

Qatar National Museumは、ドーハのモダン建築を語るうえで外せない一棟だ。フランスの巨匠建築家ジャン・ヌーヴェルが設計し、2019年に開館。瞬く間にドーハを代表するランドマークとなった。

自然からのインスピレーション

ヌーヴェルがデザインのモチーフに選んだのは、ペルシャ湾岸に生成する鉱物結晶「砂漠の薔薇(desert rose)」だ。大きな円盤状のパネルが互いに重なり合い、砂漠の花びらを模した複雑な外観を形成している。さらにこの構造は単なる意匠ではなく、強烈な日差しを遮り建物内部の温度上昇を抑えるという実用的な機能も果たしている。形と機能を高次元で両立させた、ドーハ現代建築の真骨頂と言える。

桁外れのスケール

総面積5万2,000平方メートル(約56万平方フィート)を誇るこの建物は、完成まで10年以上を費やした大プロジェクト。コンクリート7万6,000立方メートル、鉄筋2万6,000トン、外壁パネル7万6,000枚、展示スペース8,000平方メートルという数字が、その規模の大きさを物語る。

館内を歩く

館内には11のギャラリーが設けられ、古代から現代に至るカタールの歴史を体感できる。音楽、詩、古代遺物、大型映像作品など多彩な表現手法で来館者を引き込む。そして建物の中心には、Sheikh Abdullah bin Jassim Al Thaniの宮殿が修復・保存されており、カタールの過去と現在を空間的に結びつける象徴的な存在となっている。

建物を超えた体験

博物館の周囲には11万2,000平方メートルに及ぶ広大な公園が広がり、ファミリー向けの遊び場、散策路、ラグーンを備える。植栽にはすべてカタール原産の乾燥に強い植物が使われており、砂漠の国にふさわしいエコな設計が徹底されている。カフェ、レストラン、ホール、研究センターも併設され、地元市民と観光客の双方が集う文化の拠点として機能している。

2. I.M.ペイ設計:Museum of Islamic Art(イスラム芸術博物館)

Museum of Islamic Artは、ルーヴルのガラスのピラミッドで知られる建築家I.M.ペイ(貝聿銘)が手がけた傑作だ。伝統的なイスラム建築の様式と現代的なフォルムを見事に融合させており、ドーハの現代建築を象徴する存在として広く知られている。

設計への長い旅

ペイがこのプロジェクトを引き受けたとき、彼はすでに91歳で引退後だった。それでも設計に先立ち6か月をかけてイスラム世界を旅し、スペイン、シリア、チュニジアで建築を研究。最終的に13世紀のカイロ、Ahmad Ibn Tulun Mosqueのサビル(水場)に着想を得てデザインを完成させた。引退した巨匠が全身全霊で向き合ったその姿勢が、建物のあらゆる細部に息づいている。

立地と意匠

博物館はドーハの海辺の遊歩道、Corniche(コルニッシュ)沖の人工島に建ち、遠目には水面に浮かんでいるように見える。クリーム色の石灰岩で覆われた外壁は、太陽の位置によって表情を変え、頂部には高さ45メートルの大ドームがそびえる。幾何学文様のガラス窓やヤシ並木のある中庭など、イスラム建築の美学が随所に散りばめられている。

14世紀にわたる芸術を収蔵

5フロアの内部空間には、イスラムの歴史14世紀分にわたる芸術品が収められている。アトリウムには巨大なシャンデリアが吊られ、ギャラリーには自然光と人工照明を精緻にコントロールした展示空間が広がる。開口部から望むドーハのスカイラインとの対話も、この建物が提供する体験の一部だ。

コルニッシュに新たな顔を

2008年の開館以来、Museum of Islamic Artはドーハの顔となり、世界中の建築・アートファンを引き寄せている。人工島という立地はコルニッシュ沿岸の新たな焦点となり、周辺エリアのさらなる開発を促すきっかけにもなった。

3. Qatar National Convention Centre(カタール国際会議センター)

Qatar National Convention Centre(QNCC)は、2019年にプリツカー賞(建築界のノーベル賞とも称される)を受賞した日本の建築家・磯崎新が設計し、2011年に完成した。

シドラの木が持つ意味

QNCCを象徴するのは、正面を覆う2本の巨大な「木」のモチーフだ。これはカタール文化で重要な意味を持つシドラの木(Sidra tree)を形象化したもので、かつて詩人や学者たちがその木陰に集まり知恵を交わしたという故事に由来する。しかもこの「木」は純粋な装飾ではなく、屋根を支える荷重構造体として実際に機能している。芸術的デザインと実用的エンジニアリングを一体化させた、現代ドーハ建築の好例だ。

巨大かつエコな施設

メインシアター4,000席、サブシアター2,300席、会議室52室、展示スペース4万平方メートルという圧倒的なスケールを誇りながら、QNCCはLEED認証(省エネ・環境配慮建築の国際基準)を取得している。太陽光パネル、排水リサイクルシステム、地産建材の活用、省エネ型照明・空調設備など、砂漠の都市にしてサステナブルな建築の先進事例として注目を集める。

Education Cityの核として

QNCCはEducation City——複数の国際大学分校が集まる広大なキャンパス——の一角に位置し、中東における教育・研究拠点としてのドーハの地位確立に大きく貢献してきた。夜になると巨木のファサードがライトアップされ、幻想的な景観を生み出す。国際会議からコンサート、展示会まで多彩なイベントを受け入れてきたこの施設は、今やドーハの新たな都市軸を形成する存在となっている。

4. レム・コールハース設計:Qatar National Library(カタール国立図書館)

オランダの鬼才レム・コールハースが率いるOMA(Office for Metropolitan Architecture)が手がけたQatar National Libraryもまた、Education Cityに誕生した傑作だ。折り紙を連想させる菱形の外観は一見シンプルだが、内部に足を踏み入れると、書棚が連続する斜面が巨大な碗状の中央空間へと収束していく、息をのむような空間体験が待っている。古代の写本から最新のデジタルアーカイブまでを一堂に収めるこの図書館は、知識の過去と未来を同じ屋根の下に凝縮したような場所だ。

建築の都・ドーハへ

Jean NouvelからI.M.ペイ、磯崎新、レム・コールハースまで——世界最高峰の建築家たちがドーハに刻んだ作品群は、この街が単なる石油大国を超え、グローバルな文化都市として成熟しつつあることを雄弁に語る。砂漠の花をかたどった外壁、水面に浮かぶ石灰岩の殿堂、詩人の木陰を再現した鉄骨構造体……いずれも「建築は文化の自画像である」という命題を体現している。ドーハを訪れるなら、これらのランドマークをめぐる建築巡礼を旅程の中心に据えてほしい。きっと、中東への新しいまなざしを持って帰国することになるはずだ。

英語版の原文はこちら(Read the English original)でご覧いただけます。

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